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憂鬱なジョーク

2009.07.02.Thu.16:53
「グロリアの憂鬱」

原題: ¿Qué hecho yo para mercer esto?
製作年: 1984 年
製作国: スペイン
監督: ペドロ・アルモドバル
出演: カルメン・マウラ、アンヘル・デ・アンドレス・ロペス、ミゲル・アルヘン、ファン・マルティネス、ヴェロニカ・フォルケ

gloria


[あらすじ]
マドリードのルート 30 沿いに建つ巨大アパートの一角に住むグロリア (カルメン・マウラ)。夫はタクシーの運転手だが稼ぎが悪く、グロリアが掃除婦をしながら家計を支えている。義母を含め、一家5人で住むには息苦しすぎる上、明日食べるものさえ買えない。家族はてんでバラバラで、グロリアの生活は日を追うごとに、悲惨さを増していく。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


この作品は、ペドロ・アルモドバル監督の初期作品のひとつです。かなりマニアックと言える作品かもしれません。

原題を直訳すると、「こんな目に遭うなんて、私が何をしたっていうの?」 。もう、主人公のグロリアの叫びがそのままタイトルになっているのだなと思います。

マドリードはちょっと辛気臭いとこちらへ来てから言い続けているワタシですが、この映画の中 (1980 年代半ば) で描かれるマドリードの街も辛気臭くて、グロリアのアパートが狭くて息苦しそうに見えるのとついつい重なってしまいました (笑)。ああ、昔からこういう街なのだと、なんだか納得してしまいました。

この作品は、グロリアとグロリアをめぐる人々 (家族やアパートの住人) とのウンザリするような人間関係が並行に話が進みつつ、複雑に絡んでいるのですが、これじゃグロリアの思考回路もパンクするだろうなと思うほど、互いの人々が噛みあわない日常生活なのです (笑)。

そして、笑ってはいけないような気がするけれど、笑ってもいい?と躊躇ってしまうほとのブラックジョークがちりばめられています。

たとえば、今の生活よりはマシだからと、次男坊をホモの歯科医に預けたり、口論となった夫をはずみで骨付き生ハムで殺害してしまったり、殺害現場の唯一の目撃者はおばあちゃんが飼っているトカゲのディネロだったり (爆)。ちなみに、ディネロとはお金という意味で、嫌みな名前です。警察は唯一の目撃者であるディネロを踏み潰してしまい、グロリアも罪に問われません。ある意味、はちゃめちゃなのです。

生ハム殺人は、「ハモンハモン」 にもあったじゃないですか~。生ハムはここでも凶器になっているので、なんだか驚きでした。

ともあれ、ブラックジョークもあるけれど、この作品はまちがいなく社会派の作品だと思います。

結局、ギスギスしながら暮らしていた家族がアパートを去ってしまい、グロリアひとりになってしまうのですが、がらんとした狭いアパートで呆然と立ち尽くす姿は、惨め過ぎて声も出ないグロリアが ¿Qué hecho yo para mercer esto? と心の中で叫んでいるように見えました。

グロリア役のカルメン・マウラ。アルモドバル監督作品の常連ですが、この監督の世界観にぴったり溶け込んでいます。この監督の作品は、先が読めるようで読めないし、登場人物の会話が不可解だったりするので、最初は少しとっつきにくいのですが、途中からぐいぐい引き込まれていくのが特徴です。この作品も、内容の濃いストーリー展開です。

エンディングはおそらく 2 つのうちどちらかしかないだろうと素人勘ぐりでもわかるほど、グロリアが追い込まれていく姿が鮮明ですが、希望が持てる方の選択で、ホッと胸をなでおろすことができたのでした。



★★★☆


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