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夢と現実の境界線

2009.02.14.Sat.23:04
「悲夢」

原題: 비몽
製作年: 2008 年
製作国: 韓国
監督: キム・ギドク
出演: オダギリ・ジョー、イ・ナヨン、チャン・ミヒ、チア、キム・テヒョン


pimon


キム・ギドク監督の最新作。この作品は、日本からオダギリ・ジョーが出演しているというので、製作発表の頃から楽しみにしていました。韓国版のポスターはお気に入りです。

キム・ギドク監督の作品の中には、言葉 (台詞) が少ないものが多く、前作の「ブレス (숨)」では、主演の台湾出身俳優チャン・チェンは、一言も発することを許されていませんでした。今回も韓国語を話せない俳優を使うのだから、さぞかし台詞は少ないだろうと思ったら、予想に反し、言葉の応酬でした。しかも、オダギリ・ジョーだけ日本語、あとの役者は全員韓国語の台詞という、言葉の枠を超えたチャレンジングなものでした。

映像の第一印象は、何といっても、色彩が美しいこと。そして韓屋の佇まい、伝統工芸の調度品、韓布と、韓国らしい美の世界に包まれていて心地よいです。韓屋の住居が立ち並ぶ北村 (북촌) を思い出します。

そういう意味では、これまでのキムギドクワールドとはちょっと違うような気がしました。それは、オダギリ・ジョーの出演によって、日本の観客を意識しているからなのかなぁとも思ったりしました。

確かに (肉体的に) 「痛い」場面はありましたが、人間の醜悪さや、人が見たくないものを抉り出して、見せ付ける強引さが、いつもより柔らかだったような気がしました。

夢と現実の境界線をさまよう男女 2 人を描いていますが、ドラマ仕立ての安っぽさはなく、どこか観念的で、「白黒同色 (白と黒は同じ色)」 という哲学的な提言も意味深です。

夢と現実は乖離してこそ、夢と現実であり、夢が現実になってしまう正夢というのは、夢であって夢でなく少し怖ろしい気がします。夢は心理状態を表すといいますが、それもまた、夢であって夢でなく・・・どこまで行っても夢と現実の境界線は、不安定です。

そして「蝶」は、荘子の説話「胡蝶の夢」を思い起こさせてくれます。

昔者、荘周夢為胡蝶。
栩栩然胡蝶也。
自喩適志与。
不知周也。
俄然覚、則遽遽然周也。
不知周之夢為胡蝶与、胡蝶之夢為周与。
周与胡蝶、則必有分矣。
此之謂物化。

解釈 - 荘周が夢を見て蝶になり、蝶として大いに楽しんだ所、夢が覚める。果たして荘周が夢を見て蝶になったのか、あるいは蝶が夢を見て荘周になっているのか。(Wikipedia より)

ひらひらと蝶が舞うような心理世界・・・そんな映像です。





コメント
No title
はじめまして。
この「悲夢」という作品、かなり期待できそうですね。
男女二人の観念世界を描き出したという映像美、ぜひ、見てみたいです。
わたしは韓国映画にはちっとも詳しくないのですが、韓国映画って独特の映像美を追求した作品が多いように思います。
貴重な情報をありがとうございました。
はじめまして~
fabio777さん、はじめまして。

コメントありがとうございます。レスがすっかり遅くなりごめなさい。

>韓国映画って独特の映像美
私も韓国映画にはすっかりハマっていていろいろ見ているのですが、確かに醸し出す雰囲気が独特ですね。この作品は、色彩がなんと言っても美しかったです。

ところでfabio777さん、ステキなブログをお持ちですね。
映画の中の風景というテーマも興味深く拝見させていただきました。「悲夢」に出てくる韓屋の風景は、どこにもない世界だと思います。fabio777さんのブログにもときどきお邪魔させていただきます。
よろしくお願いします。

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