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北からの手紙 「エル・スール」

2010.02.01.Mon.21:08
「エル・スール」

原題: El sur
製作年: 1983 年
製作国: スペイン = フランス
監督: ビクトル・エリセ
出演: オメロ・アントヌッティ、ソンソレス・アラングーレン、イシアル・ボリャン、ロラ・カルドナ、ラファエラ・アパリシオ

elsur

[あらすじ] (参照: goo 映画
15 歳のエストレリャ (イシアル・ボリャン) は、ある朝、父アグスティン (オメロ・アントヌッティ) が家を出たまま戻ってこないと思った。父が愛用していた霊力のふりこが枕の下に残されていたからだ。エストレリャが 8 歳の頃 (ソンソレス・アラングーレン)、スペイン北部の郊外の家に住むことになった。父は医者であり、南の出身だったが、父親の折り合いが悪く故郷へ戻ることができない。エストレリャの初聖体拝受式の日の前日、南からアグスティンの母ドナ・ロサリオ (ジェルメーヌ・モンテロ) と乳母ミラグロス (ラファエラ・アパリシオ) がお祝いに駆けつけくれた。初聖体拝受式後の祝宴で、エストレリャは父アグスティンと南の曲“エン・エル・ムンド" にのってパソ・ドブレを踊る。



■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

もう 1 本、ビクトル・エリセ作品。以前はエル・スールと聞いても、何のことやらわからなかったのですが、スペイン語をかじるようになって、「el sur」 が 「南」 という意味であることがわかるようになり、なんだか嬉しかったりしました。

スペイン南部の話なのかと思いきや... 予想に反し、北部の話でした。

そしてここでも、少女の視点で描くという点は、「ミツバチのささやき」 と共通しており、さらに、劇中に映画が出てくるところも共通点です。この作品では、「日陰の花」 というタイトルになっていましたが。少女と映画。映画は少女にとって、謎を仕掛けてくる存在であり、少女の成長を促す存在でもあるようです。

この作品では、明らかに、スペイン内戦とフランコ政権の傷跡が家族関係を崩壊させるという生々しさを残しています。アグスティンの心を軋ませる彼の父親と元恋人。どちらの顔も出てきませんが、その 2 人こそが彼が南部に戻るに戻れない傷跡なのでしょうか。

北部の暮らしを通じて、南部を描いているような気がします。南部に戻りたくとも戻れない、そうした望郷の念が、雪の中に包み隠されているかのようです。少女が持っている南部の生活を描いた絵葉書を除いては、どこにも南部の映像が出てきません。南部の香りも、アグスティンの母親と乳母だけが訪ねてやって来る以外に、どこからも漂ってきません。どこにも出てこないからこそ、南部への想いがより駆り立てられ、過去にある時点に収束してしまうような感じです。

エストレリャは、結局、父から直接、父の過去について知らされることはありませんでした。父という人物にもっと近づくために、やがて南へ旅立つことになるのですが、そこでようやく、南が現実的なものとして圧倒的に迫ってくるような気がしました。

エストレリャの初聖体拝受式の祝宴で、父アグスティンと南の曲“エン・エル・ムンド" にのって踊る父娘の姿がとても印象的で、この作品は、北から南へのラブレターのような作品だと思います。



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