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涙でかすんでしまったもの 「クロッシング」

2010.05.17.Mon.23:45
「クロッシング」

原題: 크로싱
製作年: 2008 年
製作国: 韓国
監督: キム・テギュン
出演: チャ・インピョ、シン・ミョンチョル、ソ・ヨンファ、チョン・インギ

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[あらすじ] (参照: 公式サイト
北朝鮮の炭鉱で働く元サッカー選手のヨンス (チャ・インピョ) は、妻・ヨンハ (ソ・ヨンファ) と 11 歳の一人息子のジュニ (シン・ミョンチョル) とともに暮らしていた。ある日、ヨンハは妊娠中に肺結核で倒れてしまうが薬が手に入らない。ヨンスは薬を手に入れるため、中国に渡る。身を隠しながら、薬を得るために働くヨンスは、インタビューをうければ金がもらえるという話に乗り、思いがけず韓国へ亡命することになる。その頃、北朝鮮ではヨンハがひっそりと息を引き取り、ジュには孤児となってしまう。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


これまで何度となく観る機会があったのに、脱北者を扱っているという内容の重さを知っていたので、ワタシはなんとなく受け止める自信がなくて避けてきたような気がします。この映画は、政治的な軋轢や複雑な背景が絡み、韓国内での製作・公開にも時間がかかり、ようやく日本公開にこぎつけたという、いわくつきの作品です。

北朝鮮の惨状、脱北者の悲痛な叫び、支援のあり方など、北朝鮮を巡るさまざまな問題が複雑に絡み合って、傍観者が何をどうこうと言えないということは承知しているのですが、この作品では、独裁政権下に暮らす貧しい 3 人家族が、ただ薬を求めただけで、散り散りになり悲惨な結末を迎えてしまうという悲劇が描かれています。

ただ薬を手に入れるために国境を越えたものの音信不通になってしまった父親。残されたのは食料も尽き果てた家を守る病気の母親と子供。やがて母親が死に子供は孤児となってしまいますが、国境の河を渡ろうとして捕まり収容所へ。3 人家族に襲いかかる負のサイクル。

亡命先の韓国で、保健所に行けば結核の薬は無料で配布されると聞き、命がけで薬を求めてきたヨンスが驚く顔が印象的でした。自分が生きてきた国は、人間が人間らしく生きられる最低限のことが補償されていない国なのだと悟った瞬間だったのではないでしょうか。

子役のシン・ミンチョルが上手く、罪のない子供がこんな悲惨で深刻な状況に巻き込まれるとなれば、泣けて当たり前であり、実際のところ、場内は涙の渦でした。

でも、やはり疑問も残りました。これは、フィクションなのかノンフィクションなのか、ご都合よくミックスされているのか。さまざまな取材を踏まえて作られたのでしょうけれど、よく解らないことがたくさんあります。傍観者に向かって勢いよく何かが投げつけられた感じで、とても一方的な作品に感じました。

ヨンスは体制批判をしたくて国境を越えたわけではなく、ただ妻のために薬を手に入れたかっただけであり、本人の了承を得ないまま?行きがかり上、韓国へ亡命することになってしまう...というのはちょっと考えづらいなぁと思ったり。

収容所に収容された子供が、なぜ収容所から堂々と出られたのでしょうかね。また、豆満江で国境警備隊が見逃してくれたのも、すべてお金で解決できるということでしょうかね。

モンゴルと中国の国境地帯の砂漠に、何もわからない子供をひとり置き去りにするという設定は、極限の設定ではないでしょうかね。

説明不足や過剰な設定によって、結局、この作品は伝えたい何かが、涙でかすんでしまっているような気がして残念です。ただ、一方的に投げつけられたものがパンドラの箱だとしたら、パンドラの箱の中の最後には 「希望」 が残っているはずですが、それはいつになったら飛び出してくるのでしょうか...。


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