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[11th FILMeX] 「ブンミおじさんの森」

2010.11.29.Mon.02:05
第 11 回 東京 FILMeX オープニング作品
「ブンミおじさんの森」

原題: Lung Boonmee Raluek Chat
英題: Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Life
製作年: 2010 年
製作国: タイ=イギリス=フランス=ドイツ=スペイン
監督: アピチャッポン・ウィーラセタクン
出演: タナパット・サーイセイマー、ジェンチラー・ポンパス、サックダー・ケァウブアディー

uncleboome

[あらすじ] (引用: 公式パンフレット)
中年の女性ジェンは、亡くなった姉の夫ブンミから呼び出され、ラオス国境に近いブンミの農園に赴く。腎臓に疾患を抱えているブンミは、自らが余命いくばくもないことを悟り、死後の農園の管理をジェンに託す。その夜、ブンミの食卓に夫の死が近いことを知った妻の亡霊が現れ、さらには、何年も前に森の中に入ったまま消息を絶っていた息子が姿を変えて現れる。


カンヌ映画祭 パルム・ドール受賞

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


上映後の Q&A で、監督がこの作品をタイムマシーンと呼んでしましたが、先進的科学技術がもたらす恩恵の話ではなく、心の中のタイムマシーンとでも言いましょうか、人間には心の目でしか見えないものを見る力があることを教えてくれるおとぎ話のような作品だと思いました。

舞台挨拶では、「この作品を見た人は、この作品を人間ドラマだとか、政治的だとか、コメディだとか、いろいろ評したけれど...」 と監督は語っておられましたが、ワタシは、ファンタジーじゃないかなとも思いました。

もちろん、人間ドラマでもあり、政治的な意味合いも込められており、またくすくすと笑えるコメディでもあり、なんとも心地よい作品でした。

CG などは一切使わず、妻の亡霊は、じわじわっと食卓に映し出されていくのがわかり、そして、チューバッカ似の息子ものっそり登場し、ゆっくり時間が流れる場面を描きたかったという監督の言葉通りでした。Q&A でも林ディレクターが指摘されていましたが、ケモノの姿に身を変えたブンミの息子が現れても誰も驚きの言葉を発せず、「ずいぶん毛が伸びたのね」 というセリフには、ただ笑いました。

ゆっくりとした時間の流れ、そこを漂う穏やかな空気、森から聞こえてくる虫や鳥の声をスクリーンから全身で感じ取ることができて、とても不思議な感じがしました。

森の中では、人間と亡霊との間、人間と動物との間にも境界線がなく、実は互いが寄り添って生きているということが描かれているようでした。タイ映画では、森に住む精霊と人間が意思疎通をしたり、死後の世界と現世が交差するというテーマを見かけますが、そうしたテーマと共通するものがありました。

森から聞こえてくる虫や鳥の声は、「死」 の対極にある 「生」 を象徴したものだったということですが、この作品を見ながら、生と死の間を往ったり来たりするような感覚も味わいました。

腎臓病を患った男の死期を悟って、家族が集まってくるという、本来ありふれた家族ドラマ的な筋書きなのですが、ゴテゴテと飾ることなく、自然のあり様をそのまま受け入れ、互いを隔てていたもの、互いを避けてきたものをを取り払ってしまうような、深く広い心持ちや、温もりが込められているように思います。

なんだか、あれこれ説明しようとするとすべてが陳腐になってしまいそうなので、とにかく見ていただければわかるかな~。




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