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[11th FILMeX] 「溝」 → 「無言歌」

2010.11.29.Mon.18:36
第 11 回 東京 FILMeX 特別招待作品
「溝」→ 「無言歌」

原題: 夾邊溝
英題: The Ditch
製作年: 2010 年
製作国: フランス
監督: ワン・ビン (王兵)
出演: ルウ・イエ、リャン・レンジュン、シュー・ツェンツェー

the ditch

[あらすじ] (引用: 公式パンフレット)
1957 年、多くの知識人を含む右派分子とみなされた人々が辺境に送られ、強制労働に順次させられるという事態が起こった、後に、その大半の人々は名誉回復がなされたが、辺境での過酷な生活と飢餓状態の中で多くの人々が命を落とした。

ヴェネツィア映画祭 コンペティション出品作

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


あらすじを読むと、ドキュメンタリー映画かと思われますが、これは長編劇です。ただ、限りなくドキュメンタリーに近いものがありました。

ワン・ビン監督は、ドキュメンタリー映画の世界で高い評価を受けておられる方なので、そうした手法は当然といえば当然なのでしょう。本作は、小説集「告別夾邊溝」 からのいくつかのエピソードと、また監督自ら取材した夾邊溝の生存者たちへのインタビューに基づき製作されたそうです。

カラカラに乾いたゴビ砂漠で、「食べ物を探せ」 と労働者に下される命令。一体そんな砂漠のどこに食べ物があるのかと。ありませんよ、もちろん。枯れた草とか、死んだ労働者の人肉まで食べてしまうという極限状態。労働キャンプの悲惨な実態が描かれています。

人間ドラマというよりは、やはり、歴史の暗部の実態を真正面からとらえたもののようです。

タイトルの 「溝」 にも象徴されますが、労働者たちは、不衛生な砂漠の穴倉でボロボロの布団に包まって住んでいます。滋養のある食べ物など支給されるわけもなく。そこでは、人間が生きていく上で基本的に持って当たり前の、希望とか、夢とか、そんなことさえ持つことを許されません。彼らに許されるのは、死を待つことだけです。

この穴倉にひとたび入ったら抜け出せない... そんな脅迫観念にとらわれそうになりました。

劇中、唯一ドラマとして動いた部分は、夫を尋ねてきた女性が現れたことです。すでに夫は亡くなっていたのですが、そんなことも知らされずやってきたのです。悲嘆にくれる女性がせめて墓の場所を教えてほしいと、同僚に頼むのですが、墓の場所は知らないと断られます。

何が何でも夫の墓を探すと、おびただしい数の墓が並ぶ砂漠で、いくつもいくつも墓を掘り返す女性...

実は女性に教えることができない理由があったのですが、それは同僚なりの配慮であり、優しさでもあったのです。こんな惨憺たる状況に置かれてもなお、その同僚が彼女に寄せた人間としての情に、ちょっとグッときました。

重たい石を背負って暗い道を歩くような作品で、気が滅入ることは確かですが、ゴビ砂漠の果てしない地平線と、突き抜けた空の前では、人間の無力さを感じる、印象的な映像でした。


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