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叙情と叙事の間で

2009.01.15.Thu.23:50
「幸福」

「フレンチシネマで5週間」上映作品 @K's Cinema
原題 : Le Bonheur
監督・脚本:アニエス・ヴァルダ
製作年 : 1965年
製作国 : フランス

あらすじ⇒ goo映画

happiness

なかなか衝撃的な作品でした。
好むと好まざるとにかかわらず、必然的に幸福とは何ぞやと考えさせられてしまいます。 

「幸福」 の追求とか、男と女の間に存在する普遍的な差異とか、そういう堅苦しい理屈付けではなくて、もっと直截的に問いかけてくるような気がしました。直截的と言っても、喜怒哀楽の感情表現に訴えてくるのではなくて、周辺情報が語りかけてくるとでも言えばいいのでしょうか。

たとえば、音楽だったり、色彩だったり、カメラワークだったり・・・

軽やかに流れるモーツァルトのクラリネット五重奏はとても皮肉に聞こえ、この心地良いミスマッチがこの作品の核心を語っているように思えます。

冒頭に映し出される大きなひまわりがとても印象的で、テレーズが着ているワンピースも暖色系のひまわりプリント。そのうち、テレーズのワンピースの色が寒色系へと変化していくのも面白いのです。

冒頭に家族 4 人が森に入ってくる姿は正面の姿で、季節は夏で、最後に家族 4 人が森に入っていく姿は後ろ姿で、季節は秋です。

セリフが少なく感傷的な部分やキャラクターもミニマムに抑えられており、登場人物には誰もが成りうることさえ示唆しているようですが、かといって叙情的な側面を放棄しているわけではありません。表面からは読み取れない内面の遷り変わりを叙事的にカメラがしっかり捉えています。

「幸福」 は実はすぐ手の届くところにあり、捕まえたかと思うとまたすぐに手から滑りおちてしまう、そんな無常観さえ漂ってくるのですが、そこは、クラリネットが陽気に吹き飛ばしてくれる、そんな作品になっています。

この作品の製作背景には、1960 年代のフェミニズム運動とも絡んでくるようです。



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