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重く、哀しく、儚く... 「BIUTIFUL ビューティフル」

2011.08.13.Sat.14:29
「BIUTIFUL ビューティフル」

原題: Biutiful
製作年: 2010 年
製作国: スペイン=メキシコ
監督: アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演: ハビエル・バルデム、マリセル・アルバレス、エドゥアルド・フェルナンデス

biutiful

[あらすじ] (引用: Movie Walker
スペイン・バルセロナ。その華やかな大都市の片隅で、厳しい現実と日々対峙して生きているウスバル (ハビエル・バルデム) は、離婚した情緒不安定で薬物中毒の妻を支えながら、2 人の幼い子供たちと暮らしている。決して裕福とはいえず、生活のためにあらゆる仕事を請け負っていたウスバルは、ときには麻薬取引、中国人移民への不法労働の手配など非合法な闇の仕事も厭わない。しかし、争いごとの絶えない日々のなか、ウスバルはしばしば罪の意識を覚えていた。ある日、ウスバルは末期がんであることがわかり、余命2ヶ月を宣告される。ウスバルは家族に打ち明けることもできず、死の恐怖と闘いながらも、残された時間を家族の愛を取り戻すために生きることを決意する。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


約 150 分という長尺作品ということもあり、見ながら考えることが多すぎて、疲れました。

まず何から語ればいいのか、とても困ります。本作のテーマは、死と生なのか、家族なのか、社会の綻びなのか...そんな簡単な言葉では括れないものがあり、とにかく全体的に流れる重苦しい空気に飲み込まれてしまいます。

死にゆく男の残された日々は、厳しい現実との葛藤の繰り返し。ただおのれの死に対する恐怖心に打ちのめされるだけではなく、母親不在のまま残される子供たちの将来を案じ、また、自分とかかわる不法移民たちの壮絶な生き様に翻弄され、死を目前にしながら穏やかな時間をもてない主人公ウスバルが、あまりに哀れでした。

ウスバルは、中国やアフリカからやって来た移民たちの不法就労に手を貸しながら、生計を立てているのです。華やかな観光都市バルセロナの闇の部分が映し出され、バルセロナの美しい風景に浮かれた自分の情けなさを嘆きたくなったり、ヨーロッパでは今や避けては通れない不法移民問題の大きさにあらためて愕然としたり...。

ウスバルが、自分の生と死を見つめながら、どこへどう折り合いをつけて向き合うべきなのか迷っていることも手に取るようにわかるし、自分の死後の子供たちを考えるとやりきれなさと焦燥感に押しつぶされてしまいそうなのも、見ていていたたまれない気持ちになりました。

聞こえそうで聞こえてこないウスバルの心の叫び。叫びたくても叫ぶことができないのか、叫ぶ気力も体力もないのか。

そして何よりも、ウスバル自身が、若くして死んでしまった、会ったこともない父親に対して強い慕情を抱いていたというエピソードには泣けました。自分は親である前に、だれかの子であることにも違いなく...。

ウスバルは、墓から父親の棺をとり出して遺体を土葬にし、その墓を売却して換金するのですが、それもすべて子供たちのために残す貯金なのですが... 父親の遺体は、特殊な処置を施されていたため、死亡時のほぼ完全な姿をとどめており、ウスバルは見たこともなかった父親の顔と対面します。顔がわからなければ死んでも天国で父親に会えないと思ったのでしょうか。

死へ向かう人間の心理の一瞬一瞬を、これほどまでに丹念に描いた作品にはお目にかかったことがありませんでしたが、重く、哀しく、そして儚く散る男を演じたハビエル・バルデムはやはり凄い役者ですね。

タイトルの 「Biutiful」。スペルミスではありません。英語の beautiful のスペルを子供に尋ねられ、「聴こえたとおりに書け」 と言ったウスバル。スペイン語はアルファベット読みで発音するので、聴こえたとおりに書くと biutiful となるのですが、この親子のやりとり、どう反応していいのかわからない複雑な気分になりました。







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