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空間と時間の交わり... 『Come Rain Come Shine / 愛してる 愛してない (原題)』

2011.12.09.Fri.19:41
『Come Rain Come Shine / 愛してる 愛してない (原題)
韓国版

原題: 사랑한다 사랑하지 않는다
製作年: 2010 年
製作国: 韓国
監督: イ・ユンギ
出演: イム・スジョン、ヒョンビン

comerain comeshine

[あらすじ]
出張のため夫チスク (ヒョンビン) に空港へ送ってもらう車の中で、妻ヨンシン (イム・スジョン) は、男ができたので家を出ていくと、何気なく話しをする。チスクはヨンシンに理由を聞くこともない。そして、チスクが家を出る最後の日、外は大雨。自分の部屋で荷物をまとめるヨンシンに、チスクはコーヒーを淹れる。夫婦最後の日は、ゆっくりと時間が過ぎていくが、雨はますます激しくなる一方。最後の夕食は、外のレストランを予約してあるが、雨がひどくて外出は取りやめる。ヨンシンを迎えにくるはずの新しい男は、雨に浸かった橋を渡れるのか。

第 61 回 ベルリン国際映画祭 コンペディション部門 出品作

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


この作品、見ようかどうかとても迷いました。今年のプサン国際映画祭で上映されたのですが、そこで見た友人に感想を聞いたら、「ふと気が付くと、エンドロールが流れてた」 などと言うし、個人的には昨年見た『Late Autumn / 晩秋 (原題)』 のヒョンビンとは相性が悪く、少しためらっていました。

イ・ユンギ監督作品は 『チャーミングガール』、『アドリブナイト』 と好きだったし、本作もまた日本の短編小説 「帰れない猫」 (井上 荒野)を原作としているそうなので、日本の小説にこだわるイ・ユンギ監督の世界観も見ておこうと思いました。

本作は、結婚 5 年目の夫婦の別れの日を追った作品。セリフは少なく、2 人が住む家の中の空間をうまくとらえながら、2人の間に流れる繊細な空気が映し出されています。外は大雨で、隣の子猫が迷って家に入ってきてしまったり、雨で橋が流されてしまったり、この 2 人は本当に別れられるのかなとふと思ってしまいます。

劇中、喜怒哀楽という感情表現がほとんど現れないのですが、夫婦の間に暗黙の了解があるのでしょうか。夫チスクは、妻ヨンシンに対して怒ることもなく、ただ、黙っているだけ。ヨンシンは、「生まれつき怒るという感情がないのか」 とチスクに訊ねるのですが、「君が決心したことだから怒ったところで何も変わらない」 と答えるヨンチスク。ヨンシンは 「それが利己的」だと責めるのに、チスクは「大丈夫だ」と。

冒頭の車内でチスクが別れを切り出す場面は、10 分近い長まわしでワンカットだと思います。狭い車内、自宅の一階と二階をつなぐ階段、大雨の外と静かな家の中。こうした空間と、 2 人が別れるまでの気まずい時間が、じっくり交わるような見せ方だと思います。白壁の空間の中でシルエットのように浮き上がる夫チスクの姿、雨が降りこむ窓、カーテン、廊下の構図など、限られた家の中のなのに映像はとても洒落ていました。

雨のため外食をあきらめて、チスクがヨンシンにパスタを作る場面。サラダを作るから、タマネギをスライスしてとヨンシンに言われ、チスクが冷蔵庫からタマネギを取り出しスライスし始めると、タマネギが沁みて涙が出てくるのです。「蝋燭を使えばいいのに」 とヨンシン。蝋燭に火をつけるのは、タマネギを切るときに目に沁みない方法のひとつですが、でも、もうひとつ知ってました? タマネギを冷蔵庫に入れて冷やしておくことだって、目に沁みない方法なのですよ。

ヨンシンは気付かなかったのでしょうか。チスクのあの涙は、タマネギが沁みたからではないと思うのです。それまで感情を押し殺してきたチスクが、夫婦の最後の夕食を作りながら思わず涙があふれてきたという場面だとワタシは思います。

セリフや感情表現が少なくて雰囲気を作り出すのが難しい作品だったと思うのですが、イム・スジョンもヒョンビンも、しっとりとした演技でとても良かったと思います。チスク母の電話の声はキム・ヘオク、チスクの新しい男の電話の声はハ・ジョンウと、声のみ出演でもすぐにわかりました。

本作の評判、良いのか悪いのかよくわかりませんが、ワタシは意外と (なんて失礼ですが) 良かったなぁと思えた作品でした。原作も読んでみたいですね。



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