スポンサーサイト

--.--.--.--.--:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

徹底した闇の世界... 『哀しき獣 THE YELLOW SEA』

2012.01.13.Fri.23:58
『哀しき獣 THE YELLOW SEA』

原題: 황해 (黄海)
製作年: 2011 年
製作国: 韓国
監督: ナ・ホンジン
出演: ハ・ジョンウ、キム・ユンソク、チョ・ソンハ、イ・チョルミン

yellowsea_poster

[あらすじ] (引用: MovieWalker
中国、延辺朝鮮族自治州・延吉でタクシー運転手として暮らすグナム (ハ・ジョンウ) は、貧しい生活を支えるため、妻が韓国へ出稼ぎに行っており、娘をグナムの母に預けている。しかし妻からの送金も音信も途絶えている。妻の入国資金として作った 6 万元の借金を返すため、グナムは高いレートの麻雀に手を出し負けてしまう。返済を迫られたグナムは、犬商人ミョン (キム・ユンソク) との取引に応じる。それは借金帳消しの代わりに、韓国へ行き 1 人殺すというものだった。グナムは密航船で韓国に渡る。ブローカーから中国へ帰る船便の日付、場所を言い渡されたグナムは、標的である体育大学教授キム・スンヒョンのいるソウルへ向かう。グナムは暗殺の準備を進めながら、妻の行方を捜す。グナムがスンヒョンを殺そうとすると、同じくスンヒョンの命を狙っていたバス会社社長キム・テウォン (チョ・ソンハ) の部下によってスンヒョンは殺されてしまう。

第 64 回 カンヌ国際映画祭 ある視点部門 正式出品


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


本作の日本劇場公開版は、韓国劇場公開版とは異なるらしく、またその後のディレクターズカット版とも異なり、監督がディレクターズカット版をさらに編集したものなのだそうだ。

ワタシは以前に一度、字幕なしで本作を見たが、それは韓国劇場公開版だったと思う。その時の印象は、何しろ全体のトーンが暗いこと、そして人間関係が複雑。韓国語が充分に理解できていないから、いまひとつピンとこないのだろうと思っていたが、日本語字幕がついてもしっくりこない部分が多かった。

『チェイサー』 のナ・ホンジン監督の 2 作目ということで、あちらこちらで絶賛記事を見かけるけれど、個人的には、『チェイサー』 の時のような 「驚愕」 はなかった。

『チェイサー』 同様、今回もハ・ジョンウがキム・ユンソクに追いかけられていたが、今回はカーチェイスが追跡シーンの主体で、低予算で撮られた 『チェイサー』 よりもずいぶんと製作費がかかっているなと。

延吉に住む延辺朝鮮族を題材として扱っているところが、商業映画としてはかなり珍しいかもしれない。朝鮮族を扱った作品は、『キムチを売る女』(監督: チャン・リュル) や、『푸른 강은 흘러라 (原題: 青い川は流れよ)』 (監督: カン・ミジャ) を見たことがある。延辺朝鮮族は、民族的な位置づけが複雑で、韓国語も中国語も操っていながら、社会的に韓国人 (朝鮮人)にも中国人にも属さないようで、そのあたりの微妙な事情を知っている方が、この作品はわかりやすいと思う。

韓国へ出稼ぎに出たまま音信不通になった妻に会いたいばかりに、殺人を請け負ってまで韓国へ不法入国するグナム。請け負った殺人を実行しようと一歩踏み出したまさにその瞬間、殺人がバッティング... という不運というべきか、幸運というべきか (笑)。自らの手を汚さずとも、ターゲットは殺されたのだから、証拠として持って帰ってこいと指示された親指を切断しなければ...

妻の捜索状況は順調でなく帰国を延長したいが、とりあえず親指を持って、帰国の船の待ち合わせ場所に行くと... ハメられたことに気づく... もう延吉に帰ることもできない、崖っぷちのグナム。 

究極の純愛劇だという解説を読んだが、そうなのかな? 妻の温もりが恋しくてたまらず、韓国へ渡った妻が、現地で自分を裏切ったのではないか、グナムには疑心が生じていたのではないかな。純愛とは少し違うと思う。

人の心の闇は、次なる闇を呼び、さらに深く濃い闇へと迷い込む。闇社会で這いずりまわっている男たちに、光があたることはなく、闇に埋もれ、その存在さえもやがては闇の中で消されてしまい、黄海の底へ沈んでいくのだと... そういう流れが色濃く感じられた。

この徹底した 「闇」 の描き方は、見ている側がこのまま見ていたら自分まで闇の底へ引きずられるのではないかと恐怖を覚えるほどのすさまじさだった。

殺人事件を巡る、グナム、ミョン、キム社長の追って追われる三つ巴の追走劇は、ハラハラドキドキ、ついでに血なまぐさいグロい場面ありと、見せ方はさすがに上手いなと。でも、どうもしっくりこないなと思うのは、全体のトーンの暗さゆえということも手伝ってか、この追走劇の必然性がよくわからない。やられたらやりかえすを繰り返しているだけのようにも見える。

そして、すべて終わったはずの物語のオチには驚愕? いいえ、ワタシは予測していた、そのオチ。だからこそより一層、あの追走劇は一体何だったのかなと思ってしまう。



◆ Pros
- 徹底して描かれる人間の闇の世界。
- 迫力ある三つ巴の追跡劇、特にカーチェイスシーン。
- キム・ユンソクの悪人ぶりに見応えあり。

◆ Cons
- 追跡劇が主体でキャラクターの説明不足あり。

コメント

管理者にだけ表示を許可する
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。