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「普通」 の意味を考える... 『ヒミズ』

2012.02.10.Fri.23:40
『ヒミズ』

製作年: 2011 年
製作国: 日本
監督: 園 子温
出演: 染谷将太、二階堂ふみ、渡辺哲、吹越満、神楽坂恵、光石研、渡辺真紀子、黒沢あすか、でんでん

himizu

[あらすじ] (引用: MovieWalker
住田佑一 (染谷将太)、15 歳。彼の願いは “普通” の大人になること。大きな夢を持たず、ただ誰にも迷惑をかけずに生きたいと考える住田は、実家の貸ボート屋に集う、震災で家を失くした大人たちと平凡な日常を送っていた。茶沢景子 (二階堂ふみ)、15 歳。夢は、愛する人と守り守られ生きること。他のクラスメートとは違い、大人びた雰囲気を持つ住田に恋い焦がれる彼女は、彼に猛アタックをかける。疎ましがられながらも住田との距離を縮めていけることに日々喜びを感じる茶沢。しかし、そんな 2 人の日常は、ある日を境に思いもよらない方向に転がり始めていく。借金を作り、蒸発していた住田の父 (光石研) が戻ってきたのだ。金の無心をしながら、住田を激しく殴りつける父親。さらに、母親 (渡辺真起子) もほどなく中年男と駆け落ち。住田は中学 3 年生にして天涯孤独の身となる。

ヴェネチア国際映画祭 染谷将太、二階堂ふみ マルチェロ・マストロヤンニ賞受賞 


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


実は園子温作品が苦手だ。『愛のむきだし』 も 4 時間のうち 1 時間しか見ていない。『冷たい熱帯魚』 なんて予告編を見ただけでへこんでしまった。

エログロはそんなに得意じゃないけれど、絶対ダメというわけではないし、人間のどす黒い闇を抉り出す作品だって平気である。そもそも韓国映画でパク・チャヌク作品やキム・ギドク作品といった特異作品だって食い入るように見ているのに、どうして園子温作品が苦手なのか自分でもよくわからない。

でも、『ヒミズ』 は大丈夫だろうと思って見てみたら、その通りだった。

震災の被害を受けた街が心象風景のように映し出され、そこからあふれる人間の絶望感、喪失感、虚無感はよく伝わってきた。この描写はあまり評判がよくないようだけど、こうしてフィルムに焼き付けることは重要なことではないかと思ったけれど。

繊細で純粋な心を抱えるティーンエージャーを主人公に据えて、彼らが孤独に打ちひしがれながらも、容赦なく厳しい現実の中を進むという未来志向な趣は意外だった。

主人公は 「普通」 に暮らすことを望んでいる。当たり前の風景、平穏な日常、いるべき家族。そうしたものを突然失えば、「普通」 が普通でなくなり異常になってしまう。震災がいい例だろうな。そんな状況で人間はどうふるまうべきなのだろうか。

希望と絶望は紙一重だ。日常には、物理的にも精神的にも多くの危険や闇が潜んでいるが、「普通」 に暮らすことに、実はどれほどの価値があるかということにも気づいていなかったりする。

若者の目の前には当たり前のように未来に希望があるという暮らしこそが、「普通」の生活なのかな。住田少年が苦悩しながら手にしたかった普通の生活は、実は希望だったのかと。

「がんばれ」 という言葉がラストに繰り返されるが、少年が抱えるにはあまりに重い鉛の塊のような言葉で、エールというよりも残酷にも聞こえたのは気のせいだろうか。ヒミズとは 「日を見ない」= モグラのこと。モグラになりたいか、なりたくないか。あれこれと考えさえてくれる作品だった。


◆ Pros
- 繊細な若者の心理を全身全霊で表現している染谷将太と二階堂ふみは必見。
- 日常の価値と希望について考えさせられる。

◆ Cons
- 家族との断絶が痛々しい。




コメント
[
lotusさん、こんばんは~♪

>こうしてフィルムに焼き付けることは重要なことではないかと思ったけれど
この点に関しては、監督のパッションを感じました。
あの震災の風景はは詩人だったら言葉にしただろうし、音楽家だったら悲しみを旋律にしただろうし、そして、映像作家ならば映像にしなければならない。
それが表現者としての宿命だろうなぁ、と思います。
私は被災地を背景にしたことに居心地の悪さを感じたけれども、それは過剰反応だな。映画としての宿命で見れば、背景は被災地であるべきだったんだろうな。
居心地の悪さは、震災後も、あの親子の相互断絶が悲しくって。
父も母も震災を体験して、さらに自分の欲望に忠実に生きる生き方を選択しちゃったのね、「普通の生き方」ではなく。

冒頭の「がんばれ」をラストに又、持ってきたことには、驚きました。
心に響いた映画だったなぁ。

追記:
「トンマッコリ」視聴しました。超感動、感激。いい映画ですねぇ。
↑あ~、「マッコリ」になってる・・・(恥)
決して、今からマッコリ飲むつもりだからではなく・・・モゴモゴ。

ちゃんと知ってます!「トンマッコル」ですよね(笑)
yuca さん、コメントありがとうございます。

>被災地を背景にしたことに居心地の悪さを感じた
ああ、やっぱりそうなのですか。そういう感想をあちこちでみかけたのですが、yuca さんも園子温作品をよくご覧になっていらっしゃるから、少し違和感があったのかしら。

記事にも書きましたが、ワタシはどうも園子温作品に苦手意識があって。『ヒミズ』は近年の監督作品の中でも、一番監督らしくない作品なのかな。すべてを失った被災地の風景が、住田少年の絶望そのもののような気がして、ワタシは違和感がなくすーっと溶け込めたのですよ。

>冒頭の「がんばれ」をラスト
「がんばれ」 という言葉と園子温もなんかミスマッチな組み合わせで、却って心に響きましたね。

>「トンマッコリ」
ぷははは。なんだかカワイイ。


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