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幽玄と妖艶と.. 『雨月物語』

2012.02.21.Tue.06:00
『雨月物語』
NHK BS プレミアム放映

製作年: 1953 年
製作国: 日本
監督: 溝口健二
出演: 京マチ子、森 雅之、田中絹代、小沢 栄、水戸光子、香川良介、上田吉二郎

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[あらすじ] (参照: goo 映画
天正 11 年春。琵琶湖周辺では羽柴、柴田間の合戦で民百姓は混乱を極めていた。戦火の中、北近江に住む陶工・源十郎 (森雅之) は、妻・宮木 (田中絹代) と子・源市を残し、自作の焼物を売りさばいてひと儲けしようと旅に出た。義弟の藤兵衛 (小沢栄) もまた、侍への立身出世を夢見て、女房・阿浜 (水戸光子) を捨てて通りかかった羽柴勢にまぎれ入った。

城下で商売をしていた源十郎は、上臈風の美女・若狭から多くの陶器の注文を受け、屋敷に届けると、そこで若狭たちから饗宴を受け、妖艶な魅力を持つ若狭の虜になる。快楽の日々が続く中、ある日、源十郎は町ですれ違った僧侶から思いがけない忠告を受ける。屋敷に戻り、若狭に別れを切りだすと、怒り狂った若狭が必死で引き留めようとするものの、若狭は源十郎に触れることができない。源十郎の背中には呪符が書かれていたのであった。翌朝、源十郎は廃墟の中で目覚める。若狭たちは織田信長に滅された朽木一族の死霊だったのである。

源十郎は妻子の待つ郷里へ戻る。戦禍に荒れはてた北近江の村で、彼は宮木と再会。しかし、一夜が明けると彼女の姿はどこにもない。宮木は源十郎と訣別後、落ち武者の槍に刺され、すでにこの世を去っていたのである。その後、源十郎は、宮木を弔いながら陶器作りに精進した。その傍らには、立身の夢破れて帰村した義弟、藤兵衛と阿浜の姿もあった。

1953年 ヴェネチア国際映画祭 銀獅子賞

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「雨月物語」 は、江戸時代後期の作家・上田秋成の代表作で、怪異小説 9 編から成る。溝口健二監督による 『雨月物語』 は、その小説 「雨月物語」 の中の 「蛇性の婬」 と 「浅茅ヶ宿」 から材を得て映画化されたものだ。2 つの話から導き出される、物欲、愛欲の妄執、無常というテーマがひとつにまとめられた形になっている。

映画好きと自称するものの、なぜか自分の国で製作される日本映画にはほとんど関心がない私でも、溝口健二監督のお名前は知っているが、恥ずかしながら、作品をきちんと見たことがなかった。

古典を素材にしているという点が特に興味深かったので本作を見てみたのだが、素晴らしい作品だった。日本でしか発信できない作品であることも間違いない。

映像の中でくり広げられる幻想世界は、本作が製作された時代よりもはるかに CG やら映像技術が発達している現在で、そうした技術を駆使したとしても、再現しきれない貴重な世界なのではないかと思われ、鑑賞している時間がとても貴重な時間に思えた。

欲望に執着する人間の浅はかさと哀しさという世俗的、現実的な側面と、人間を惑わす妖艶な亡霊の出現という怪奇ファンタジーの側面がうまく調合され、物語の奥深い構成力にも驚いた。

怪奇ファンタジーと言っても、どこかおどろおどろした粘り気のようなものはなく、儚さや幽玄を表現する、洗練された古典芸能を彷彿させるものがあった。

余計な色を一切そぎ落としたモノクロでこれほどまでに表現できるのかと、モノクロの美しさをあらためて認識できたし、モノクロカメラワークの技術の高さにも感動さえ覚えた。かえって、カラー世界の意義って何なのだろうかと考えてしまった。

そういえば、アミール・ナデリ監督 『CUT』 の 100 作品リストの中に、この作品は入っていたことを思い出した。


◆ Pros
- モノクロ映像の美しさを再認識できる。
- 巧みなストーリー構成と映像美の見事なマッチング。
- 日本文化ならではの幽玄の世界・幻想世界を再現している。


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