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喪失からの脱却... 『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

2012.03.20.Tue.22:46
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

原題: Extremely Loud and Incredibly Close
製作年: 2011 年
製作国: アメリカ
監督: スティーブン・ダルドリー
出演: トム・ハンクス、サンドラ・ブロック、トーマス・ホーン、マックス・フォン・シドー、ヴィオラ・デイヴィス

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[あらすじ] (引用: Movie Walker
9.11 同時多発テロで父を亡くした少年オスカー (トーマス・ホーン) は、父の突然の死を受け入れられずに日々を過ごしていた。そんなある日、彼は父の部屋のクローゼットで、封筒の中に 1 本の “鍵” を見つける。この鍵は父が残したメッセージかも知れない。オスカーはその鍵の謎を探しに、ニューヨークの街へと飛び出した。

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


9.11 のテロは世界中の人々の心を凍らせた。

あの日、ワタシは、NHK ニュースでまだ 1 機目が突入したばかりの現場を衛星中継の映像で見ていたため、続いて 2 機目がワールドトレードセンターに突入した瞬間を見て目を疑ったと同時に、体中から血の気が引くような気分だったことを思い出す。

かつて自分の家族や知人の多くがあのビルの中で仕事をしていたし、自分もまた何度かあのビルにも足を運んだ。幸い、巻き込まれた知人はいなかったが、時代が少しずれていれば、自分にも確実に直接ふりかかった事件であった。

本作は、9.11 文学の金字塔と言われている同名小説を原作としている。

アスペルガー症候群の疑いがあると診断されている少年オスカーにとって、世の中と、他人とうまく付き合うことは難題だ。父親のトーマスは、そんなオスカーの最高の理解者である。ところが、そんな父親が 9.11 のテロで命を落としてしまう。

パニックになりそうな心を必死に抑えながらも、父親を失ったという事実を受け入れることができない。テロの当日、トーマスは父親から自宅にかかってきた電話に出なかったのだ。怖くて電話に出ることができなかった自分を責め続けながらも、父親が自分に残したはずのメッセージを自分にたぐりよせようとする。

こんな繊細な神経を持つ子供に向かって現実から目を背けてはならないとは言えるはずもなく、オスカーが抱える喪失感を、誰がどうやって修復できるものなのか。母親は、オスカーにとって自分が父親ほどの存在感ではないことを自覚しているのか、どこかあきらめた様子。

オスカー少年が自らの苦しい状況を打破するために街の中を歩き回り、父親の残した鍵の謎を解こうとする行為そのものは、現実から逃避せずに喪失感を克服するステップである。

泣ける話だと周囲の友人たちが口をそろえて言うのだが、ワタシは泣けなかった。テロの喪失感から脱却する過程を少年の視点で描き、また、少年のガラスの心が丁寧に描写されていて見ごたえがあったが、終盤、それまで存在感のなかった母親が唐突にその過程に割り込んできたものだから、視点がずれてしまったような気がして泣けなかったのだ。

母親だって息子を見守っていたのだよ... ということを言いたいらしいが、そこでそれまでのトーンが変わってしまったようで、ワタシは躓いてしまった。惜しむらくは、少年が自然と母親を意識するようになる過程があればよかったのにと。原作ではどう描かれているのか知らないけれど。

鍵の持ち主を捜しまわるオスカーが、その鍵で開けたかったものは何だったのか。少年が自らの固く閉ざされた心を開くための鍵だったのかもしれないと思うと、とても意味深な小道具だと思う。

少年役のトーマス・ホーンは、本作が初めての演技経験だったらしいが、トム・ハンクスやサンドラ・ブロックよりも、彼の澄み切った瞳に引き込まれた作品だった。


◆ Pros
- 少年役のトーマス・ホーンのピュアな演技は必見。
- 少年の視点で描かれた喪失からの脱却劇は見ごたえあり。

◆ Cons
- 終盤の展開は、評価がわかれるかもしれない。


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