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究極の選択... 『我らが愛にゆれる時』

2012.03.21.Wed.22:15
『我らが愛にゆれる時』
DVD

原題: In Love We Trust / 左右
製作年: 2008 年
製作国: 中国
監督: ワン・シャオシュアイ
出演: リュウ・ウェイウェイ、チャン・ジャーイー、チェン・タイシェン、ユー・ナン

love we trust_poster

[あらすじ]  (参照: Movie Walker)
メイ・チュー (リュウ・ウェイウェイ) は、娘のハーハー (チャン・チューチアン) が白血病を患い余命数年であることを知らされる。娘を救うには骨髄移植しかない。彼女は前夫のシアオ・ルー (チャン・ジャーイー) に連絡を取り、移植の適合検査を受けるが二人とも一致しなかった。同じ両親から生まれた子供であれば、骨髄の適合確率が高いことから、焦ったメイ・チューはドナーとなるべき子供を人工授精でもうけようと、シアオ・ルーに相談する。二人とも離婚後はそれぞれ新しい家庭を持っているが、娘の命を救う手段は他にない。産児制限のある中国では、メイ・チューが第二子を産むと、メイ・チューの夫ラオ・シエ (チェン・タイシェン) は自分の子供を持つことができない。シアオ・ルーの妻トン・ファン (ユー・ナン) も夫と前妻との人工授精には猛反発。結局、ハーハーの命を救うためラオ・シエもトン・ファンも提案を受け入れる。しかし、人工授精は失敗。メイ・チューとシアオ・ルーは最後の手段として、秘密裡に直接性交渉で子供を作ろうとする。

2008 年 ベルリン国際映画祭 銀熊賞(脚本賞)

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


ワン・シャオシュアイ監督の作品を見るのは、『北京の自転車』、『重慶ブルース』 に続いてこれが 3 作目だが、中国の現代社会と人間模様をクールな視点で描く作風は変わらず、裏切られることのない作品だった。

余命いくばくもない娘のために、骨髄ドナーとなる子供を作ろうとする元夫婦。離婚後はそれぞれ新しい家庭を持っている。別れたはずの夫婦が、娘のためとはいえ第二子を設けようとする発想は、2 組の夫婦にとって、命の駆け引きの究極の選択である。

中国では、人工授精は 3 回までと回数制限があるらしく、人工授精に失敗した 2 人の次の手段は、直接の性交渉しかなくなってしまうのだ。さすがに肉体関係を持つことはパートナーには言えない 2 人。パートナーから理解を得られないことは必至であるから、秘密裡に関係を持つことにするのだ。もはや、許されるとか許されないとか、見ている方もそういうレベルではなくなっているところが不思議だ。

見ていてなんとも複雑な思いがする。モラルと生命を天秤にかけているのだ。子供のためなら、親は他人を殺すことさえ厭わないというが、少なくとも、子供を救う手段が残されているのであれば、それがたとえモラルに反することであろうとも試そうとする親の執着はわからないわけではない。。

問題は、この元夫婦のそれぞれのパートナーだ。親たちにとって至極当然の選択であっても、彼らのパートナーが失うものは大きい。たとえば、メイ・チューの夫ラオ・シエは、メイ・チューが元夫との間に第二子をもうけてしまうと、産児制限のため自分の子供は持てなくなる。シアオ・ルーの妻は、ルーとの間に子供をもうけることができるが、妻として、女としてのプライドはズタズタである。

中国語の原題 『左右』 は、悩み、揺れ動く夫婦の心の内側を示しているのだと思う。

しかし、この作品の真骨頂は、ラストの場面でラオ・シエがメイ・チューにかける言葉だ。ラオ・シエは、隠れて前夫と肉体関係を持つ妻を黙認している。実の子供でないハーハーを救うため、生まれてくるであろう子供も自分の子供として育てるというのだ。

この物語の真の主人公は、娘を救うために髪の毛を振り乱して奔走する母親でなく、モラルやプライドよりも生命と家族を選択したラオ・シエだったことに、ただただ頭が下がる思いだった。


◆ Pros
- 二組の夫婦による究極の選択を、社会派視点でとらえた作品。
- 少ない登場人物の丁寧な心理描写は見ごたえあり。

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