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栄光と挫折の坂...『アリラン』

2012.04.14.Sat.23:50
『アリラン』

原題: 아리랑 / Arirang
製作年: 2011 年
製作国: 韓国
監督: キム・ギドク

arirang

[あらすじ] (引用: MovieWalker
2008 年の 『悲夢』 を最後に表舞台から姿を消したキム・ギドク監督。3 年間、彼は一体どこで何をしていたのか?なぜ映画を撮らなかったのか?その謎が明かされる。隠遁生活をおくる雪深い山小屋、栄光の影で人知れず傷を深めていった人間の心の叫びが、カメラに向かって語られるセルフドキュメンタリー。

2011 年 カンヌ国際映画祭 ある視点部門 グランプリ


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


『アリラン』 はキム・ギドク監督復帰作としてカンヌ国際映画祭で注目され、また、昨年の東京 FILMeX オープニング作品として話題になった作品。

『悲夢』 撮影時に事故が起こりショックを受けたこと、そして、弟子の裏切りに傷ついたこと、この 2 つの出来事が原因で映画が撮れなくなり隠遁生活を送っていたキム・ギドク監督が、自らの姿を映したセルフドキュメンタリー。

セルフドキュメンタリーという形式ではあるものの、かなり演出された部分があり、ドラマミックスとも言える。それは、監督自身も劇中で認めていて、自身は “俳優” であると。映画を撮れなくなったため、自分自身を撮ることにしたが、それは真実であり、演技でもあると。

キム・ギドク監督作品におけるキャラクターたちは強烈で堂々とした姿であることが多いのに、監督自身は弱気で純粋すぎる姿をさらけ出しているのは皮肉なことだと思った。

全編を通して、監督の自問自答、叫び、独白、グチが続く。自分自身に対する苛立ち、焦り、憤りで F ワード連発である。映画を撮るということはそれほどまでに偉大なことなのかと、悩み、苦しみ、もがき、追いつめていく姿は、とうてい凡人が声をかけられるような状況ではなく、次元の違う人だなと感じた。

そして、身の処し方がわからず、自ら拳銃を製造して殺し屋になるという顛末は、いかにもドラマチックというよりシニカルな展開で、こういう誰も思いつかないような発想は、キム・ギドク監督ならではのものだなと思った。やや演出的な部分もあったものの、キム・ギドク監督の語る言葉はひとつひとつが深く噛みしめられた言葉で、訳もなくジーンと響いてくるものがあった。

隠遁生活を送りながら自分の姿をカメラにおさめただけで、カンヌ (ある視点部門) でグランプリを受賞してしまうとは、この監督の底知れぬ芸術への執着としたたかさ、誰も追随できない発想の豊かさと非凡さを感じ取らざるをえない。

2007 年に渋谷のユーロスペースで、キム・ギドク監督レトロスペクティブ上映があった際に、キム・ギドク監督の登壇を拝見したことがあるが、昨年の東京 FILMeX に登場した姿は、以前とあまりに変わっていたので正直驚いた。今ではすっかり仙人のようだった。

「アリラン」 とは、“自らを悟る” という意味を持つ代表的な朝鮮民謡。“アリラン 上り坂 下り坂” という歌詞は、栄光と挫折を繰り返す監督の人生そのものを映し出している。

ともあれ、Welcome back !


◆ Pros
- ギドクファン必見。
- 独白劇なのに迫力満点。

◆ Cons
- 脚色されたドキュメンタリー。
- キム・ギドク監督を知らないと分かりづらい。

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