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情緒表現のコントロール... 『少年と自転車』

2012.05.20.Sun.02:20
『少年と自転車』

原題: LE GAMIN AU VELO
製作年: 2011 年
製作国: ベルギー=フランス=イタリア
監督: ジャン=ピエール・ダルデンヌ 、 リュック・ダルデンヌ
出演: セシル・ド・フランス、トマ・ドレ、ジェレミー・レニエ、ファプリツィオ・ロンジョーネ

legamin auvelo_poster

[あらすじ] (引用: MovieWalker
少年シリル (トマ・ドレ) の願いは、自分を児童養護施設へ預けた父親 (ジェレミー・レニエ) を見つけ出し、再び一緒に暮らすこと。父を捜すため、学校へ行くふりをして父と暮らしていた団地へと向かう。シリルを探しにやってきた学校の先生に見つからないように入った診療所で、美容院を経営する女性サマンサ (セシル・ドゥ・フランス) にしがみつくシリル。父親が買ってくれた自転車があるはずだと言い張り、部屋を開けるともぬけの殻。ある日、シリルのもとをサマンサが訪ねてくる。シリルの話を聞いて自転車を探し出し、持っていた人から買い取ってくれたのだ。シリルはサマンサに週末だけ里親になってもらうことを頼み、一緒に過ごしながら、父親の行方を捜し始める。自転車の売り主を探しあてるも、大切にしていた自転車を売ったのは父親だったことを知る。そして、ようやく父親と再会するシリル。シリルを養育するつもりがないことを知るサマンサは、それまで以上に真摯にシリルと向き合い始める。恋人との間に軋轢が生まれるほどに、彼女はシリルを大切に思い始めていた。どうしようもなく傷ついた心を抱えるシリル。ふたりの心は徐々に近付いていくかに見えた。けれど、ふとしたことで知り合った青年との関係が、シリルを窮地に追い込む。

第 64 回 カンヌ国際映画祭 グランプリ

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


本作は、親に捨てられた少年シリルと、彼の里親となったサマンサとの心の交流を描いた作品である。

見知らぬ同士だった2人が、自転車をきっかけに実の親子のような信頼関係を築き上げていくヒューマンドラマで、繊細な心の動きが丁寧に描かれている。

親に捨てられたことを認めなくない少年は、親の愛情を求めれば求めるほど傷ついていく。少年にせがまれて里親になるサマンサの寛容と勇気には尊敬さえ覚える。

血縁が人間のつながりのすべてではないことを、淡々としたカメラワークで見せてくれる。ドキュメンタリーのように、少年の後ろ姿や自転車で走る姿をひたすら謙虚に追いかけていく。普通ならお涙ちょうだい的な物語になりそうなところを、その謙虚さが過剰な情緒を抑えて込んでいるようだ。

さらに、セリフのひとつひとつにも無駄がなく、ここでもあざとい情緒は完全に省かれている。

情緒が一切そぎ落とされているにもかかわらず、少年の傷ついた心の痛みが伝わってくるし、またサマンサが少年を包み込もうとする心の温もりも感じられるのはなぜだろうか。

情緒を表現するためのコントロールが、計算しつくされて、見せる側ではなく見る側の感情を引き出すように設定されているような気がしてならない。

親から拒絶され殻にこもってしまう少年。どうにも行き場のない感情を持て余して、何か突拍子もない方向に爆発してしまうのではないか、心が音をたててガラガラと壊れてしまうのではないかと、少年が純粋なだけにハラハラ度が最高潮に達しながら見てしまった。

しかし、少年は健気だった。自分を包み込んでくれる人に出逢い、その彼女を信じることによって、自分の人生を切り開いていくのだ。あんなにも小さな体のどこに、それほどのパワフルな生命力があるのかとちょっと唸ってしまった。


◆ Pros
- 情緒を抑制した少年と里親のドラマ
- ドキュメンタリーのようだが説得力のある映像

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