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時代に翻弄される... 『三重スパイ』

2012.05.20.Sun.23:40
映画の国名作選 V フランス映画未公開傑作選
『三重スパイ』

原題: Triple Agent
製作年: 2003 年
製作国: フランス
監督: エリック・ロメール
出演: カテリーナ・ディダスカル、セルジュ・レンコ、シリエル・クレール、グレゴリ・マヌーコフ、ディミトリ・ラファルスキー

tripleagent

[あらすじ] (引用: MovieWalker
1930 年代のパリ。フランスは、ボルシェヴィキ政権に反旗を掲げ国を脱出、もしくは追放されたロシアからの亡命者を数多く受け入れていた。ロシア帝政軍の将校フョードル (セルジュ・レンコ) もその 1 人で、ギリシャ人の妻アルシノエ (カテリーナ・ディダスカル) と共に亡命してきた。フョードルは表向き、在仏ロシア軍人協会で事務員をし、アルシノエは自宅のアトリエで油絵を描くのを趣味としている。やがて、スペイン内戦が勃発し、2 人の周囲も騒がしくなる。フョードルは出張が多くなり、アルシノエは夫の仕事について問い詰める。フョードルは、自分は諜報員で活動はすべて秘密厳守なのだと答える。そして、ある日、フョードルが勤務する軍人協会の会長が、何者かによって誘拐されたという知らせが届く。彼の行動に、不審の目が向けられる。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


本作は、1930 年代のパリを舞台に、ロシア、フランス、ドイツの駆け引きに揺れるひとりのスパイの物語である。

ギリシャ人の妻アルシノエと共にパリに亡命したロシア帝政派の若き将軍フョードルは、スパイであることは隠さないが、誰のためのスパイなのかが謎に包まれている。反共産のロシア人のため、誕生したばかりのソビエト連邦のため、ナチスのため、それともこれら全てのため? 

本作の背景となる1930 年代半ばのヨーロッパは動乱の中にあったわけで、人々はイデオロギーに揺れる不安な社会で暮らしていた。その歴史的な背景知識に乏しいことが悔やまれた。鑑賞後に友人から提供してもらったパンフレットの記事で復習し、ようやく理解できた。

1936 年にパリで実際に起こったスコブリン事件を題材として、エリック・ロメール監督が脚色。ロシア、フランス、ドイツの駆け引きで人々が翻弄される姿を映し出し、当時のフィルム映像を交えながら、フィクションと史実で構成された内容。

何しろ背景知識に乏しかったので見ている時は、その歴史背景を追うことで精いっぱいだったが、後から振り返り、歴史的な事件をあらためて知ると、実によくできた話だったなと思う。1 組の夫婦が時代の渦に巻き込まれるさまが、哀しくも切なく描かれているからだ。

情緒的な部分はかなりそぎ落とされているが、フョードル将軍とアルシノエというの夫婦は、一体どういう夫婦だったのかなと大きな疑問が残ったが、そうした疑問が残ること自体がこの作品の奥深さなのだと気付いた。

フョードル将軍は、心の底から妻とともにロシアに戻り、病弱な妻を静養させたかったのだろうなと思った。妻の問いに対しても曖昧にしか答えられない仕事、つまり諜報活動によって功績をあげて、故郷に戻りたかったのだろう。そんなに大きいとは言えない希望にすぎないのに、それさえも国家間の対立イデオロギーによって取り上げられてしまう時代。そんな時代に生きる人々の姿は、やはり切ない。

巷でよく見かけるような、緊張感あふれるアクション、大作戦、お色気ロマンスがあるわけでもない、地味なスパイ物語である。パリでひっそり生きた亡命ロシア人たちの息遣いが聞こえる市井スパイが時代に翻弄されていくさまが丁寧に描かれていた作品だったと思う。


◆ Pros
- フィクションと史実を交えた見事な構成。
- 時代に翻弄されるひとりのスパイの生き様が見どころ。

◆ Cons
- 歴史的な背景知識がないとツライ。

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