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あやうい境目... 『愛の残像』

2012.07.18.Wed.23:57
『愛の残像』

原題: La Frontière de l'aube
製作年: 2008年
製作国: フランス
監督:フィリップ・ガレル
出演: ルイ・ガレル、ローラ・スメット、クレマンティーヌ・ポワダツ

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[あらすじ] (引用: goo 映画
パリ、女優キャロル (ローラ・スメット) とカメラマンのフランソワ (ルイ・ガレル)。撮影をきっかけに知り合った2人は激しい恋に落ちる。仕事でロンドンに行き離ればなれになった後も、フランソワだけを愛すると誓うキャロルだったが、映画監督の夫がアメリカから戻ってくると、フランソワは去って行く。後日、フランソワは友人からキャロルが精神を病み、精神病院に入院していることを知らされる。退院したキャロルにフランソワは他の女と付き合っていることを告げる。キャロルは哀しみを抑えきれず、自ら命を絶つ。1 年後。新しい恋人エヴ (クレマンティーヌ・ポワダツ) から妊娠を告げられるフランソワ。動揺するフランソワの前にキャロルの幻影が現れる。

第 61 回 カンヌ国際映画祭 コンペティション部門 正式出品作品


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


本作は、パリを舞台に、若い写真家と人妻女優の激しい恋を綴ったモノクロ作品である。映画作家フィリップ・ガレルの息子ルイ・ガレルが主演をつとめている。原作は、テオフィル・ゴーチェの小説 「スピリット」。

モノクロの映像がとても美しい。パリの街並み、建物、室内のたたずまい。どれをとっても、白と黒によって奏でられる陰影に引き込まれる。そして、この作品は愛についてしか語っていない。その愛さえも、モノクロの哀しさが引き立てる。

本作で一番驚くところは、パリの日常を映す洗練されたモノクロの世界に、突然、鏡に映ったキャロルの亡霊。いや、幽霊、幻影、イメージとでもいうべきか。なんともおどろおどろしい。それまでカメラのレンズを通した角度、線、光と影といった物理的な映像の美しさに酔いしれていたのに、その瞬間、フランソワの深層心理にでも迷い込んだかのような精神世界の映像が映りこむ。

しかも、鏡の向こうに映るキャロルは妖艶系というよりは恨めし系。フランソワにとってキャロルは、女というリアルな存在だったはずだからか、生々しく映しだされているような感じがする。フランソワにとってのキャロルの存在は?という問いかけなのか。

原題の La Frontière de l'aube は、夜明けの境目という意味らしい。邦題は、劇中もっとも衝撃的な場面を 「愛の残像」 と名打ってタイトルとして使用したのだろうか。

「境目」 という方が、全体を把握するにはしっくりくる。肉体と精神、イメージとリアル、男と女、生と死、光と影。そうした相反するもの同士の境界線を、ときに人間はふらふらと彷徨ったりするものらしい。

深読みすればするほど、問いかけが増えていきそうだが、問い詰めれば問い詰めるほど、答えが出てこないような気がする。映像を表面的に素直に受け取ると、ストーリーとしてはシンプルでありきたりで俗っぽい。俗っぽさと高尚さが紙一重というあやうさも魅力である。



◆ Pros
- モノクロ映像の美しさを堪能できる。
- 深層心理学的、恋愛学的な分析が可能。

◆ Cons
- ありふれた男女愛のストーリー。
- セリフが少なくやや単調。



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