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祖国とは何か... 『가비 / 珈琲 (原題)』

2012.08.01.Wed.13:47
韓国版
『가비 / 珈琲 (原題)』

原題: 가비
製作年: 2011年
製作国: 韓国
監督: チャン・ユニョン
出演: チュ・ジンモ、キム・ソヨン、パク・ヒスン、ユソン、チョ・ドッキョン、キム・ウンス、チョ・ギョンフン 

coffee_poster

[あらすじ] (参照: Cine21)
1896 年、高宗(パク・ヒスン)がロシア公使館で政治を行い(露館播遷)、大韓帝国の樹立を準備する混沌とした時期、ロシア大陸でコーヒーと金塊を盗んでロシア軍から追われることになったイルチリ (チュ・ジンモ) とターニャ(キム・ソヨン) は、朝鮮系日本人サダコ (ユソン) の陰謀で朝鮮に来ることになる。ターニャは、高宗のそばでコーヒーを淹れる朝鮮最初のバリスタとなり、イルチリはサカモトという名でスパイとなり彼女を守る。彼らはサダコの陰謀によって高宗暗殺計画に巻き込まれていく。



◆ ◆ ◆ ◆

本作の時代背景は、李氏朝鮮最後の国王高宗が対外政策、国内政策にも行き詰まり、1896 年 2 月、ロシア公使館に逃げ込み、親ロシア政策を行った時期(露館播遷)。日本軍の脅威に対抗するため、高宗は親ロシア政策をとるが、多くの権益をロシアに奪われたため、国民の反感を買う。自主独立運動におされ、高宗は大韓帝国を樹立。露館播遷時期に、高宗はコーヒーを初めて飲んだとされる。

祖国を追われた男女が、祖国に戻り、祖国の長である高宗の暗殺計画に関わるという、非常にドラマティックな展開である。

原作は、『朝鮮名探偵~トリカブトの秘密』 の原作者でもあるキム・タックァン作家の小説 『노서아 가비 (ロシア珈琲)』。

ロシアと日本といった周辺国の脅威にさらされた激動の朝鮮半島で、王と珈琲の出会いは東洋と西洋の出会いであり、そこに暗殺計画というスリリングな要素を加えて、壮大な大陸を舞台に祖国とはということを問いかける内容で、面白い素材だと思った。

祖国から見捨てられたイルチリとターニャ。祖国から売られたサダコ。他国の庇護下で政治を行ってしまった高宗。各キャラクターと祖国との関わり方はそれぞれ異なるが、時代背景のせいで強いられた感があって、もうひと捻り、深く掘り下げて欲しかったなと思った。

エンタメ性を強く意識したようで、衣装や美術セットなどには苦心した跡が見られるが、疑心暗鬼に陥る高宗や、毒を盛れないターニャ、遠くからターニャを見守るイルリチなどの各キャラクターの複雑な心理状態がいまひとつ伝わってこなかったのが残念。

朝鮮史劇を描いた韓国映画として、対立国ありきで描かれた内容はたいていガッカリさせられる。もうすぐ日本で公開される『神弓 KAMIYUMI』は対清国、日本未公開 『신기전 / 神機箭』は対明国、『モダンボーイ』 は対日。民族の独立性、自主性を描きたいがための、自国万歳映画になってしまうからだ。

この作品もご多分に漏れずその仲間入りを果たしてしまった。列強に振り回され、対外干渉を受けて主体性を守れず、国を失ってしまった高宗に対する歴史的評価が低いことは、周知の事実であるにも関わらず、ラストは、高宗が大韓帝国を樹立して初代皇帝を名乗るというところで終わるのだ。民族にとって、最も都合の良い歴史的事実を高々と宣言するかのように。

高宗と珈琲。なんとも皮肉な取り合わせである。

しかし... この作品を見終わると、美味しいコーヒーが無性にのみたくなることは間違いない。



◆ Pros
- 祖国とは何かをスリル感を味わいながら鑑賞。

◆ Cons
- 素材は面白いが、捻りや練りこみが足りない。
- 愛国映画?


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