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交錯する想い... 『かぞくのくに』

2012.10.16.Tue.14:29
『かぞくのくに』

製作年: 2011 年
製作国: 日本
監督: ヤン・ヨンヒ
出演: 安藤サクラ、井浦新、ヤン・イクチュン、京野ことみ、宮崎美子、津嘉山正種

kazokunokuni

[あらすじ] (引用: MovieWalker
1970 年代に帰国事業により北朝鮮へと渡った兄。日本との国交が樹立されていないため、ずっと別れ別れになっていた兄。そんな兄・ソンホ (井浦新) が病気治療のために、監視役 (ヤン・イクチュン) を同行させての 3 ヶ月間だけの日本帰国が許された。25 年ぶりに帰ってきた兄と生まれたときから自由に育ったリエ (安藤サクラ)、兄を送った両親との家族だんらんは、微妙な空気に包まれていた。兄のかつての級友たちは、奇跡的な再会を喜んでいた。その一方、検査結果はあまり芳しいものではなく、医者から 3 ヶ月という限られた期間では責任を持って治療することはできないと告げられる。なんとか手立てはないかと奔走するリエたち。そんな中、本国から兄に、明日帰還するよう電話がかかってくる。

第 62 回 ベルリン国際映画祭フォーラム部門 正式出品
国際アートシアター連盟賞受賞作

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


本作は、ヤン・ヨンヒ監督がご自身の体験に基づいて描かれた、在日朝鮮人の一家をめぐる作品である。70 年代の本国帰還事業により家族でただひとり北朝鮮に送られた兄が病気療養のために 25 年ぶりに日本に帰ってくる。兄を迎え入れる家族、昔の仲間たち、彼らを監視する北朝鮮から派遣員の思いが交錯するドラマとなっている。

監督は、本編の原作である著書 「兄~かぞくのくに」を上梓している。

まず本作を見て、こんなにも居心地の悪さ、気まずさを感じることになるとは思わなかった。作品の出来の善し悪しを評してそう思ったのではなく、北朝鮮をめぐる現実のおぞましさ、理不尽さに対してである。

久しぶりに引き裂かれた家族が再会するも、手放しで大喜びできない憂鬱な空気。

まだ少年だった兄をひとり北朝鮮に送ってしまった父親。民族の誇りと息子の命を天秤にかけたことに対する自責の念はないのか。母国北朝鮮からの仕打ちにも、やはり息子より母国や民族が大切なのか。苦虫をかみつぶしながらも鷹揚に構えた態度は、自身のプライド、民族のプライドを打ち捨てることのできない弱さの裏返しでもある。

息子を北朝鮮に送った夫を責めることもできず、ただ温かく笑顔で息子を迎えてやることしかできない母親。愛情を注ぐこともできなかった幼かった息子に、何もできなかった無力さに打ちひしがれることはなかったのか。笑顔がその無力さを一層際立たせている。

兄を北朝鮮に送った父親を心の中で責めながら、自らのアイデンティティに対する疑問が解けない妹。兄が北朝鮮にいなければならない理由は何なのか。一体自分は何者なのか。自分の国はどこにあるのか。

引き裂かれた家族が、兄の姿を見るたびに自問自答を繰り返しているようで、家族だんらんの和気藹々という空気はなく、それぞれの想いが家の中を虚しく彷徨っている空間づくりが何とも見事だと思った。

また、遠巻きながらもその家族を監視する北朝鮮の監視役ヤンの目。ヤンの目に映るこの家族に対する想いも複雑なのだ。

病気療養で帰国したはずだが、当初の滞在期間を大幅に短縮されて送還命令が出て送り戻されてしまう兄。理不尽を通り越して、怒りを通り越して、ただ茫然とする家族同様、見ている側も涙すら出ない。

この家族が国境を乗り越える日は来るのだろうかと考えると余計に暗鬱とした気分にさせられるが、リエがスーツケースを転がして、どこかに向かって進む姿に救われた。

井浦新、ヤン・イクチュンの淡々としながらも切々とした演技は見ごたえがあった。


◆ Pros
- 引き裂かれた家族の情景がよく描かれている。
- 淡々としながらも訴求力のあるキャストの演技

◆ Cons
- セリフとセリフの間の空気に圧倒されてしまい没入できないことも


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