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[17th BIFF] 『Touch / 터치 / タッチ (原題)』

2012.10.17.Wed.16:30
第 17 回 プサン国際映画祭 Korean Cinema Today: Panorama 部門
『Touch / 터치 / タッチ (原題)

原題: 터치
製作年: 2012 年
製作国: 韓国
監督: ミン・ビョンフン
出演: キム・ジヨン、ユ・ジュンサン

touch_poster

[あらすじ]
アルコール中毒の治療を受けている元射撃選手のドンシクは、中学校の射撃部コーチの再契約問題で、理事長から強いられた酒をやむを得ず飲み、飲酒運転で学生チェビンをひき逃げして警察に捕えられる。妻スウォンは、夫ドンシクの示談金を用意するために、老人介護の仕事中、世話をする老人患者の性的な要求を聞き入る代わりにカネを手にする。結局、スウォンは、病院から追い出されることになる。その日、家に戻ったスウォンは、娘チュミがいなくなったことを知り探し回る。怪しい少年の後を追うと彼の家でチュミを発見する。そして、その家には誰からも見捨てられた重病人が横たわっていた。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


『タッチ』 は、とある普通の家族を通じて、社会におけるコミュニケーションや生命の大切さを明確に語った作品だ。

その、ある家族。

妻スウォンは介護の仕事をしているが、家族から棄てられた老人たちからカネをだましとり、無縁故者ということで療養院へ送っている。老人の性的な要求にも応じる代わりにカネを得ることも。結局、勤めていた病院を辞めさせられてしまう。

夫ドンシクは元国家代表の射撃選手。今は中学校の射撃部コーチをしているが、過去の栄光にすがりつき、現役に復帰したいと考えているが、周囲からは見放されている。しかし重度のアルコール中毒。飲んではいけないと医者から言われても、理事長の誘いは断れず、深酒をしてしまい交通事故を起こしてしまう。中学校も辞めさせられてしまう。

娘チュミは男子学生にかどわかされ、体にいたずら書きをされてしまう。

どん詰まりの家族なのだ。この行き場を失った絶望的な家族がどう再生していくのか...という展開だが、不思議なことに、この作品は、お涙ちょうだいのファミリー物語ではない。

妻も夫も、自分自身と向き合った物語で、自分が暗い穴から這い出すことで光を見出していくところが、なんとも魅力である。

猟銃会の仕事についたドンシクが森の中で見つめる先にいるのは 「鹿」。その鹿を追って撃ってしまい、泣き崩れるドンシク。そこでは、自分自身で自分の生命を傷つけてしまうかのような、ドンシクの自堕落的、破壊的な姿が描かれているようでもある。

娘をかどわかした少年の家に横たわっていた病人に手を差し伸べるかどうか迷うスウォンの前にも 「鹿」 が横切る。そこでは、スウォンが介護士だった仕事柄もあるが、他人の生命とどう関わるかという命題に直面している姿ととらえることもできるようである。

真っ黒な純粋な瞳を持つ「鹿」がシンボリックな存在であることは一目瞭然なのだが、この社会派とも思えるストリーライン上に、幻覚かとおぼしきファンタジーな色彩はアンバランスであるはずのに、ごくごく自然な流れで登場しておさまっている。

「鹿」 が持つ意味は、古今東西の文献を渉漁するならば様々な解釈があるだろうけれど、ここでは単純に、自分自身の魂であったり、良心であったり、再生であったりするのではないかと思う。

精神的に追いつめられる 2 人には緊迫感があって、展開もスピーディである。なんと言ってもキム・ジヨンの気迫の演技には圧倒されるし、ユ・ジュンサンの崩れ方も見ごたえがある。

監督は GV で、「とかく自殺者の多いこの国 (韓国) で、生命の尊さを知ってもらいたかった」 と語っていたが、自分の命、他人の命に対する関わり方、触れ合い方、「タッチ」 を今一度考えようということのように思えた。


◆ Pros
- スピーディな展開と掘り下げられたキャラクター
- 家族、命を通して考える社会派ドラマ


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第 17 回 プサン国際映画祭 Korean Cinema Today: Panorama 部門『Touch / ?? / タッチ (原題)』原題:
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