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[17th BIFF] 『Steel / Acciaio』

2012.10.18.Thu.01:06
第 17 回 プサン国際映画祭 Flash Forward 部門
『Steel / Acciaio』

原題: Acciaio
製作年: 2012 年
製作国: イタリア
監督: Stefano MORDINI
出演: Matilde Giannini、Anna Bellezza、Michele Riondino、Vittoria Puccini

acciaio_poster.jpg

[あらすじ]
9 月になれば高校生になるアンナ(Matilde Giannini)。夏休みは親友のフランチェスカ(Anna Bellezza)とビーチにある空き家で戯れている。アンナの兄アレッシオ(Michele Riondino)は地元の鉄工所で働き、その生活に満足している。ある日、アレッシオの昔のガールフレンドだったエレナ(Vittoria Puccini
)が、本部から工場に派遣されてくる。工場ではレイオフが敢行されるが、アレッシオの首だけはつながっていた。エレナに自分に同情するのかと迫るアレッシオ。鉄工所のある小さな海辺の町を舞台とした人々のストーリー。

2012 年 ヴェネツィア国際映画祭 Venice Day 出品作


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


プサン国際映画祭のFlash Forward 部門は、アジア圏以外の新進監督の処女作または第 2 作目を紹介する部門でコンペ形式をとっている。

本作は、イタリア新進気鋭の Stefano MORDINI 監督の第2作目にあたり、Silvia Avallone という作家の小説を原作としているそうだ。この作品の舞台となっているのは Piombino という海辺の町。今にも廃れそうなその町の経済を支えるのは鉄工所。

登場する主要人物は 3 人。鉄工所で働く労働者アレッシオ、アレッシオの妹アンナ、アンナの友人フランチェスカ。群像劇風に各人のストーリーを並べるのではなくて、彼らの個性を扱い、それが作品全体が伝えるメッセージへとつながっている。

労働者アレッシオは、別れた妻のことが忘れられずにいるが、仕事には満足している。ところが鉄工所の経営不振により、本部から解雇される人員が発表される。アレッシオは解雇を免れるが、それは別れた妻が鉄工所本部で幹部となっているからだった。永らく町の繁栄を支えてきた鉄工所。鉄産業の衰退という現実がアレッシオに覆いかぶさる。確固たるものの崩壊、繁栄の衰退。

一方、思春期のアンナとフランチェスカ。まだ未熟な 2 人は、現在や未来に何ら確かなものを持っていない。女同志にありがちな濃密な結びつきにも、ボーイフレンドの登場でヒビが入り始める。不安定で揺らぎの季節を謳歌しているかのようでもあり、未来に希望を見出すことのできない若者たちを象徴しているかのようでもある。

アレッシオと 2 人の少女の状況を交差して見せることにより、この社会の不確かさ、不安定さ、そうしたものが見え隠れする。今現在、ヨーロッパのみならず、世界で起こっている産業構造の変化などを社会不安を映し出しているようである。

きわめて繊細で情趣豊かな作品であるにもかかわらず、タイトルの 「鉄」 はなんともいかつい感じがする。「鉄」 が意味するものは何だろうかと考えてしまう。鉄は強くて倒しがたいものの象徴だが、やはりいつかは倒れてしまうものなのだろうか。

海や浜辺の柔らかさや有機的な情景と、鉄工所の無機質なたたずまいの対照性が双方を際立たせている。



◆ Pros
- 社会へ発信するメッセージを読み取れる
- 繊細なストーリーと美しい映像


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