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[17th BIFF] 『Beasts of the Southern Wild / 南の果ての野獣ども』

2012.10.22.Mon.02:01
第 17 回 プサン国際映画祭 World Cinema 部門
『Beasts of the Southern Wild / 南の果ての野獣ども』

製作年: 2011 年
製作国: アメリカ
監督: ベン・ザイトリン
出演: Quvenzhané Wallis、Dwight Henry

beasts of the southern wild

[あらすじ] (引用: Sundance Institute / NHK Award
不屈の心を持つ 6 歳の少女ハッシュパピー (Quvenzhané Wallis) は、父のウィンク (Dwight Henry) と共にルイジアナの臨海湿地帯バイユーに暮らしている。「バスタブ」 と呼ばれるその小さなコミュニティは長い堤防で産業地帯や通常の文化生活と隔てられ、まるで世界の果てのよう。大きな嵐が来ると堤防でせき止められた水はどこにも行きようがなく、バスタブはすっかり水没してしまう。住人は水上共同避難所を作って暮らすことになるが、誰もバスタブを後にする者はいない。謎の病に冒されているウィンクの健康は日を追って悪化し、自分がいなくなった後の世界でハッシュパピーが強く生きていけるよう、父は娘を懸命に訓練する。

ウィンクの心臓が痛むのと呼応するように、世界の鼓動が突然速く強く乱れる。南極では棚氷から巨大な氷塊が離れ、海上を漂い始めた。氷の中に眠っているのは前史時代の獣、オーロクたち。そんな中ハッシュパピーは、物心つく前にいなくなった母親を捜して海に泳ぎ出る。

2012 年 サンダンス映画祭 US コンペティション審査員大賞 (グランプリ)、撮影賞
2012 年 カンヌ映画祭 ある視点部門 カメラドール賞・国際批評家連盟賞・エキュメニカル賞スペシャルメンション

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


今年のプサン国際映画祭で鑑賞した作品の中で、最も力強く、最も感動したのがこの 『南の果ての野獣ども』。観客の反応も半端なく熱いもので、サンダンス、カンヌで非常に高い評価を得ていたせいか場内満席で、上映後は割れんばかりの拍手の嵐。こういう体験はなかなかないと思う。第 85 回アカデミー賞の作品賞にもノミネートされるのではないかと噂されている作品。

キャストの半数以上が、主演の少女ハッシュパピー役の Quvenzhané Wallisを含めて、ルイジアナのバイヨー地域の地元住民で構成されているそうだ。自然との闘争を描いたような本作が、一幕劇 "Juicy and Delicious" という演劇をベースにしているというが、また驚きでもある。

ベン・ザイトリン監督のデビュー作となる本作は、イマジネーション豊かな映像美を通して、ある種の黙示録のような啓示が込められており、同時に現実の世界を見据えた泥臭くて獣臭くいエネルギーに満ち溢れている。

ちょうどハリケーンカトリーナの惨状を記憶するような設定になっており、日本に言い換えると津波で水没する町に相当する。

洪水によって孤立するコミュニティ。しかし公共の援助を求めない。孤立してもコミュニティから立ち去ることなく、自らの力で立ち上がって行く姿は、自然の猛威に叩きのめされた人々に対する癒しのようなものが感じられる。

病気の父親が、わずか 6 歳の娘が一人でも生きていける術を伝えようとするところは、自然の過酷さと自然への敬意を肌で覚えさせるものだと理解でき、親に甘えることが許されないか弱い少女を憐れに思ったり、惨めさを感じたりすることはない。

気候変動により極地の氷が解け始め、近い将来もたらされるであろう洪水によって、陸地は水没する危機も迫っている。この先、人間は恐れ多くも自然との戦いに出なければならない。ノアの方舟のように陸地が一掃されるようなことになるのかもしれず、そうした人類の終末観さえ感じられる。

映像から感じたエネルギーは、自然のエネルギーなのか、人間のエネルギーなのか。最後に、ハッシュパピーが動物たちとともに立ち上がり走り抜ける幻想的な姿がとても印象的だ。


◆ Pros
- 人間と自然をとらえた力強い作品
- イマジネーションとリアルが混在した映像美を楽しむ
- ハッシュパピー役の少女に乾杯!



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