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[17th BIFF] 『National Security / 南営洞 1985 (原題)』

2012.10.22.Mon.13:36
第 17 回 プサン国際映画祭 Gala Presentation 部門
『National Security / 남영동 1985 / 南営洞 1985 (原題)

原題: 남영동 1985
製作年: 2012 年
製作国: 韓国
監督: チョン・ジヨン
出演: パク・ウォンサン、イ・ギョンヨン、ミョン・ゲナム、キム・ウィソン、ソ・ドンス、キム・ジュンギ、イ・チョニ、ムン・ソングン

national security

[あらすじ]
軍部独裁政権下の 1985 年。民主化運動家キム・ジョンテ (パク・ウォンサン)は警察に連行される。ソウル龍山区南営洞にあった 「対共分室」 は、共産主義者や北朝鮮のスパイを摘発する名目で、多くの民主化運動家がここで拷問を受け、うその自白調書を取られた。ジョンテはその「対共分室」で 22 日間にわたり、拷問のスペシャリストであるイ・ドゥハン (イ・ギョンヨン) から絶する拷問を受ける。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


本作は、韓国の軍事政権下にソウル龍山区南営洞にあった 「対共分室」 で拷問を受けた民主化運動家の一人、故・金槿泰 (キム・グンテ) 氏の手記をもとにした作品である。同氏は 1985 年に 22 日間に及ぶ拷問を受け収監されたが、釈放後、96 年に国会議員となり、ノ・ムヒョン政権下では保健福祉相に抜擢。昨年末に亡くなるまで民主統合党の常任顧問を務めていた。

当時は、傷をつけて証拠が体に残らないように、水や電気による拷問が行われてたそうだ。劇中の大半を占める拷問シーンには、「もうやめてくれ」 と思うほど、こちらの息が詰まりそうになるほど胸が苦しくなった。主人公のキム・ジョンテは、最初は強要される嘘の自白に抗っていたものの、あまりの苦痛に耐えかね自白に応じていくのだが、その一連の過程は、ジョンテの精神がズタズタに破壊されるような凄まじい光景だった。

ジョンテ役を演じてひたすら拷問されていたパク・ウォンサン、実は水が苦手だったそうで、文字通り体を張った演技には拍手を送りたい。水責めもそうだが、赤トウガラシ責めのシーンは、今思い出しても気分が悪くなりそうだった。

上司の命令に従って拷問する側の人々がたまに見せる戸惑いは、罪悪感が完全に欠如している姿ではないが、それも一時の幻想で、ジョンテには何ら救いにもならない。抑圧された社会の人々の不満のはけ口をそこに見ているようで怖ろしい。

監督が伝えたいメッセージは、韓国の暗黒の現代史で何が起こっていたか 「沈黙してはいけないということ」 だそうだ。民主化運動でどれほどの血が流れ、民主化が苦痛の中から生まれたことがよくわかる。

ラストでは、後に議員となり政界で活躍するジョンテがかつて自分を拷問したイ・ドゥハンと面会するシーンがある。赦しを求めるイ・ドゥハンに、一瞬たじろぐが赦すを受け入れることのできないジョンテ。そこでワタシは心の中で 「赦しちゃダメ」 とジョンテに向かって言っていた。

監督も Q&A で述べていたが、イ・ドゥハンが赦しを求めるべき相手は天=神であり、神しか彼を赦すことができないと思う。

『折れた矢』に続き、社会派色の濃い作品であるものの、ドキュメンタリーでもなく、フィクションでもなく、その曖昧なところで、おぞましい拷問シーンだけが心に強く残って空回りしているような感じがしないでもない。


◆ Pros
- 苦痛の中から生まれた民主主義を知る社会派作品

◆ Cons
- 大半を占める拷問シーンはいささか苦痛
- フィクションとノンフィクションの曖昧な境界に戸惑う


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