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[17th BIFF] 『Ceaser Must Die / 塀の中のジュリアス・シーザー』

2012.10.23.Tue.00:34
第 17 回 プサン国際映画祭 World Cinema 部門
『Ceaser Must Die / 塀の中のジュリアス・シーザー』

原題: Cesare deve morire
製作年: 2012 年
製作国: イタリア
監督: パオロ・タヴィアーニ、ヴィットリオ・タヴィアーニ
出演: パク・ウォンサン

ceaser must die

[あらすじ] (引用: 公式サイト
イタリア、ローマ郊外にあるレビッビア刑務所。ここでは囚人たちによる演劇実習が定期的に行われている。 毎年様々な演目を囚人たちが演じて、所内劇場で一般の観客相手にお披露目するのだ。 指導している演出家ファビオ・カヴァッリが今年の演目を、シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」と発表した。 早速、俳優のオーディションが始まり、ブルータス、シーザー、キャシアスなどの配役が次々と決まっていく。演じるのは重警備棟の囚人たち。本公演に向けて所内の様々な場所で稽古が始まる。ほどなく囚人たちは稽古に夢中になり、日常生活が「ジュリアス・シーザー」一色へと塗りつぶされていく。 各々の監房で、廊下で、遊戯場で、一所懸命に台詞を繰り返す俳優たち=囚人たち。 それぞれの過去や性格などが次第にオーバーラップして演じる役柄と同化していく。

第 62 回 ベルリン国際映画祭 金熊賞受賞

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


この作品もプサン映画祭で見た作品の中では、かなり面白く見た満足できる作品だった。

本作は、実在の刑務所に服役中の囚人たちが演ずる、シェイクスピアの 「ジュリアス・シーザー」 をカメラで捉えたものである。

囚人たちのオーディションから始まり、稽古、本公演へと続いていくのだが、まるでドキュメンタリーのような体裁でありながら、しっかりとした人間ドラマとしても構成されている。本番に向けて刑務所のあちらこちらで行われる稽古シーンは、彼らが日常過ごしている刑務所そのものがセットとなっているため、囚人同士ちょっとした諍いが起こったり、囚人が苦悩したり感情をむきだしにするエピソードも加わり、ビハインドストーリーでありながら、もうひとつ別の演劇を見ている錯覚が起きる。

「ジュリアス・シーザー」 を演じる囚人のひとりひとりが、本物の俳優顔負けで、キャラクターに没入していく過程はエネルギッシュで、刑務所が徐々にローマ帝国へと変貌していくのを見届けることができる。まるでイリュージョンの世界にいるようで、この芝居が終わったら監房に戻らなければならない囚人たちの現実との対比が上手い。

「ジュリアス・シーザー」 が劇中戯曲と使われていることは非常に興味深い。人生の光と闇、友情と背信、苦悩、権威などのシェイクスピア劇に登場する様々なエレメントが、受刑者の人生と重なって、そのままあぶりだされているようにも見える。

本作は今まで見たことのないような体裁の作品で、題材も実に人間味があふれていて、ひとひねりも、ふたひねりも入れながら、執拗に囚人たちの姿を追う。序盤には、この作品の核心、意図はどこにあるのかと思いながら見始める余裕と冷静さがあったが、モノクロとカラーを巧みに使い分けた映像に惹きこまれているうちに、すっかりどこかに迷い込んで熱くなっている自分がいた。


◆ Pros
- ドキュメンタリーと人間ドラマの混在
- 劇中劇と囚人たちの現実の対比の上手さ
- モノクロとカラーの巧みな使い分け





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