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[17th BIFF] 『The Castle of Purity』

2012.10.24.Wed.21:27
第 17 回 プサン国際映画祭 Special Programs in Focus 4
Arturo Ripstein : Four Stories of Captive Minds
『The Castle of Purity』

原題: El castillo de la pureza
製作年: 1973 年
製作国: メキシコ
監督: アルトゥーロ・リプステイン (リプスタイン)
出演: Claudio Brook、Rita Macedo、Arturo Beristáin

elcastillodela.jpg

[あらすじ]
ネズミ駆除剤の製造販売業を営むガブリエルは、世俗にまみれると汚れるという理屈で、家族に外出を禁じ、外界と接触させずに、家に幽閉する。子供たちの教育も家庭内で行い、家族全員でネズミ駆除剤の製造に精を出す。子どもたちが自分の意思にそぐわないことをすると、暴力をふるい、地下牢に閉じ込める。子供たちが思春期に入り、家族関係に変化が生じる。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


本作は、実際に起こった事件をベースにしており、家族監禁というややおぞましいテーマが描かれている。

主人公のガブリエルは、自分の理念が世界のすべてであると信じ、家族にも信じ込ませる。外界との接触が一切禁じられている子どもたちにとって、この世は 「家」 であり、父親という絶対君主が君臨している。学業も遊びも仕事も、すべて父の意のままである。

仕事場の壁に、なぜか日本語で 「僕は王様である」 と書かれたポスターが掲げられていたのが笑えたが、あのポスターはどこで手にいれたのだろうか。

この狂気とも呼べるような異常な世界を、子供たちは当たり前のごとく受け入れているが、自分たちの置かれている世界が異常かどうかも判断できるわけがない。しかし、どんなに父親が絶対的存在であっても、成長するにつれて膨らむ子供たちの人間としての本能である好奇心や性的欲望は抑えることができない。父親の異常な行動に耐えられなくなり外界に救いを求めようとしたり、長男と長女が互いの体をまさぐるようになったり... 

本作もまたエキセントリックさが際立つ作品で、異常なまでの家族愛、偏愛の行きつく先は、家族の崩壊を招くであろうということは予想できるのだが、他人の私生活をこっそり覗いているような気分になる。

家族ひとりひとりの心理を丁寧にすくい取りながら、徐々にサイコサスペンス劇のような雰囲気になり、ラスト近くは息をのむ展開。

父親が守りたかったものは何だったのだろうか。純潔、無垢、汚れなき世界だとしたら、それはこの世が汚れに満ちていることを知りつくしていることの裏返しでもあるような気がする。同時に、長女の名前がユートピアだったことから推測するに、父親は自らの理想主義に傾倒し、それを実現できる場所が家族しかなかったのかもしれない。

なお、ギリシャのヨルゴス・ランティモス監督によるリメイク作品 『籠の中の乙女』 は、第 62 回カンヌ国際映画祭「ある視点」 部門のグランプリを受賞した。


◆ Pros
- エキセントリックな家族世界
- 丁寧な心理描写とサスペンス

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