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[25th TIFF] 『未熟な犯罪者』

2012.11.20.Tue.00:34
第 25 回 東京国際映画祭 コンペティション部門
『未熟な犯罪者』

原題: 범죄소년
製作年: 2012 年
製作国: 韓国
監督: カン・イグァン
出演: ソ・ヨンジュ、イ・ジョンヒョン、チョン・イェジン

juvenile offender

[あらすじ]
保護観察中の犯罪少年チャン・ジグ (ソ・ヨンジュ) は病気の祖父と 2 人で暮らしていて、ガールフレンドもいる。ある日、ジグは悪友たちに誘われて空き巣に加担して逮捕され、彼を世話する家族がいないという理由で少年院へ送られる。しばらくして祖父が死んでしまい、この世にたった一人残されてしまう。そんな中、死んだと思っていた母親が現れる。17 歳でジグを生んだ母親チャン・ヒョスン (イ・ジョンヒョン) はジングを引き取るが生活は苦しく、周囲に借金ばかりしている。そして、ジグはガールフレンドが妊娠して堕胎したことを知る。


第 25 回 東京国際映画祭 最優秀男優賞 審査員特別賞

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


本作は、韓国の国家人権委員会からの依頼で製作された作品で、少年院に収監された少年たちの繊細な心理をとき解いている。カン・イグァン監督は、家族と社会をテーマにした作品をこれまで手掛けており、『サグァ』 では女性の結婚における苦悩を緻密に描いた。

少年院に収監された少年を描くにあたり、スタッフや俳優は実在の少年院に寝泊まりし、収容者たちの生活を間近に感じて理解することで、彼らの置かれた状況をリアルに再現することに成功している。また、実際の施設での撮影が行われたそうだ。

たった 1 人の家族だった祖父を亡くして、わずか 16 歳の少年が天涯孤独の身になってしまうのかと思うと何とも切なかったが、そこへ死んだはずの母親が現れる。母親は 17 歳の時に彼を産み、彼を捨てたのだった。

母親として成熟していないヒョスン、肉体は大人であっても精神は子供のままの少年チグ。それまで出会うこともなく、何の接点もなかったこの 2 人が真の親子関係を取り戻すことができるのか、いや、構築することができるのかということが、この物語の収束点だ。

突然現れた母親に戸惑い揺れる子供、突然子供に会いにいく覚悟を決めた母親。一体どれほどの複雑な感情なのか、どういう表情で顔を合わせるものなのかという繊細なシーンは見どころでもある。突き放したり、反発し合ったり、とことん衝突するのかと思ったが、どこかぎこちない空気が漂いながらも、失ったものをもう一度取り返し、互いを補完するかのように寄り添っていく 2 人は、まるで友だち同士のような親子関係だが、なんとも微笑ましいものだった。

「未熟」 ということがこの作品のテーマでもある。大人でありながら成熟していない母親、大人になる階段をのぼる途中の子供、人として成熟するということはどういうことなのか。生活力、包容力、とどのつまりは家族と社会に対する責任なのだろう。

若い時に過ちを犯したり、人生の序盤に躓いたりすることで、その先、何をやっても上手くいかないこともあるだろう。だからといって、いつまでも逃げていられないというのが現実。現実の中で、非常に強い希望を見出すような、光へ導く道しるべのような作品だと思う。

少年チグ役のソ・ヨンジュは、昨年、ドラマ 「私の心が聞こえる?」 で見たものの、こうした社会派映画で主演を務めているとは知らず、ドラマの子役の時とは別人のごとくの成長を遂げていた演技に驚いた。TIFF コンペで最優秀男優賞を受賞は彼にとって大きな自信となると思う。

母親役のイ・ジョンヒョンは、第一次韓流ブームでドラマ 「美しき日々」 にも出演、もともとは歌手だ。透明感のあるタレントで、周囲の人に媚び、甘えながら暮らす未熟な大人を好演。


◆ Pros
- 後味の良く清々しい
- 繊細な心理描写

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